理事長挨拶
野間教育研究所は、戦後まもない1946(昭和21)年に創立されました。 その趣旨は、祖父、野間省一が『野間教育研究所二十年の歩み』の中で述べている次の言葉に要約されています。
「戦後の混乱期において私どもがこの研究所を創立いたしましたのは、一つには講談社初代社長、野間清治の遺志を実現いたしたい悲願によるものであり、一つには戦後日本の再建は教育にまつ外はないという観点から、まず基礎的研究によって教育理念の確立を図り、いささかわが教育界に寄与いたしたいとの微衷から出発いたしたものであります。」―――
こうしてスタートした研究所は、1950(昭和25)年4月1日に財団法人の認可を得、1989(平成元)年には特定公益増進法人の認可も得て、60年余の長きに亘り、研究活動を続けてまいりました。
この間、『近代日本教育制度史料』全35巻の編集をはじめ、『日本教科書大系』全42巻・『世界教育史大系』全40巻などの編纂に協力し、国家的事業の一端を支えてきました。 また、四つの研究部会(日本教育史・社会教育・教育心理・幼児教育)を開催し、それぞれ研究結果を紀要として刊行するなど、着実な成果を上げています。
1948(昭和23)年5月には、実験校として野間自由幼稚園を静岡県伊東市に開設しました。現在までに卒園生四千六百余名を数え、野間教育研究所の指導の下、伝統をふまえつつ、時代に沿ったカリキュラムを展開。地元および近隣の人たちからも信頼され、愛される幼稚園として歩んでおります。
公益法人制度改革により、2010(平成22)年から準備を始めてまいりましたが、2012(平成24)年4月1日より、公益財団法人へと移行することになりました。今後はさらに公益性を高め、教育界のみならず、広く社会に貢献し、たくさんの方々のお役に立てるよう務めてまいる所存でございます。皆様のますますのご高援をお願い申し上げます。
令和6年4月1日
公益財団法人・野間教育研究所理事長 野間省伸