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■ 2019年度 事業計画

(1)調査研究活動

イ. 日本教育史研究部門
「1950年代教育史」研究部会

研究者 「1950年代教育史」研究部会 研究者名簿

 2019年度は2020年の紀要刊行を視野に入れて、各研究員の研究テーマやその内容をさらに具体的に進行していく。従来通り、毎回の研究会で2人ずつ途中経過を報告しながら、2019年度後半には、原稿執筆にかかる予定。研究部会のリーダーは、引き続き米田俊彦研究員で、各メンバーのテーマにかかわる作業の目標は次のとおり。
@米田俊彦:紀要第60集にまとめた勤務評定紛争の全体状況をふまえつつ、教育委員会が文部省の強い助言指導に応じずに教員組合とねばり強く交渉を続けた神奈川県を取り上げ、教育委員会がなぜそのような態度をとることができたのかを考察する。
A大島 宏:制度発足期である1950年代の高等学校の状況を、戦後改革期や1960年代を視野に入れつつ検討し、高等学校にとっての1950年代の歴史的な意味について考察を行う。特に、山梨県を事例として取り上げ、高等学校分校の存在とその動向に注目し、社会的・経済的な動向を視野に入れつつ研究する。
B須田将司:1950年代は戦後新教育の批判的再検討から1960年代の官製研修強化への過渡期にあたる。当該期に設立・展開していった自治体立教育研究所(事例:関東地区教育研究所連盟、神奈川県教育研究所連盟と県内各研究所)と国立大学附属教育研究所(事例:静岡大学教育研究所)が、いかに教育研究と教員研修とを捉え、存在意義を見定め活動を展開したのか、その歴史的存在意義とは何かについて分析・考察をする。
C鳥居和代:1950年代の子どもの長期欠席問題への取り組みの背景にある、国や地方公共団体の青少年問題対策や青少年保護(健全育成)行政の影響について考察する。そのうえで、これらの青少年施策と学校や教育委員会の長期欠席の対応とのかかわりを、千葉県の漁業地域の事例に即して検討する。
D西山 伸:1950年代の高等教育において大きな問題の一つが大学管理であった。従来の研究史は「大学法試案要綱」廃案の経緯に集中しており、その後の議論の展開についてはほとんど触れられるところがない。今年度はこの経緯につき実証的に跡づけていくことによって、当時の大学の実態について考察を進める。
『野間教育研究所所蔵学校沿革史誌目録』は、引き続き「中学校・小学校編」の資料の整理を進める。既刊の「国・公立高等教育機関編」「私立高等教育機関編」「高等学校編」は、データの追加・整理を続けていく。(2017年度に公開を予定していたが、データの入力漏れがあり、確認作業に時間をとられ、持ち越しとなった。)2019年度には、現在までのデータを追加した最新版「国・公立高等教育機関編」のホームページ上での公開を目指す。

ロ. 社会教育研究部門
新研究部会(仮称:「教育と公共」研究部会)

研究者 「修養」研究部会 研究者名簿

社会教育研究部門は、2012年7月にスタートした「青年の自立と教育文化」研究部会が、その成果として紀要第61集『青年の自立と教育文化』を2019年3月に刊行し、研究部会自体も2018年10月に解散した。
2019年度からは上記のメンバーで、研究テーマの方向性等も含めて討議、研究活動を開始する予定。6人中5人が本研究所にとって初めての研究員のため、これまでの流れを知っている田嶋一研究員をリーダーとして、月1回の研究会で、研究を進めていく。

ハ. 教育心理研究部門
「社会性と感情教育」研究部会

研究者 読書教育研究部会 研究者名簿

 2015年4月から発足した本研究部会は、渡辺弥生研究員をリーダーとして、月に1回程度の定例研究会を実施。2019年度は、紀要『社会性と感情の教育心理学(仮)』として、個別研究と共同研究部分を1冊にまとめて刊行する予定。
紀要の構成は以下の通りとなっている。( )内は執筆担当者。

紀要の構成)
第1章  感情のもつ社会的機能とその応用(大森美香)
 第1節  感情とは
 第2節  知能から感情能力へ
 第3節  生活領域と感情
 第4節  感情能力と教育
第2章 子どもの感情力の発達と幸せ (渡辺弥生)
 第1節  支援できる感情力とは
 第2節  感情力の生涯発達
 第3節  プリミティブな感情から道徳的な感情まで
 第4節  感情力を育てる支援の実際
第3章 社会性と感情の発達における家庭の影響と親支援(飯田順子)
 第1節  親を取り巻く状況
 第2節  社会性と感情の発達における親の役割
 第3節  親子関係に関連する感情調整を測定する尺度
 第4節  親支援プログラムの実際
第4章 児童期における感情スキルの獲得に関する支援(藤枝静暁)
 第1節  学校不適応問題の現状
 第2節  従来のソーシャルスキル教育の課題
 第3節  感情スキルの学習を取り入れたソーシャルスキル教育の提案と課題
 第4節  感情スキル測定尺度の試作と感情スキル教育の試行
第5章 思春期・青年期における感情と社会性に関する支援(小林朋子)
 第1節  思春期・青年期における支援の必要性
 第2節  思春期・青年期の子どものアセスメントの実際と課題
 第3節  中学生・高校生の「感情」に関する二次的・三次的援助サービスについて
 第4節  レジリエンスプログラムにおける「社会性」「感情」における支援の実際
第6章 日本語の教科書における感情語の評価と分析(飯田順子)
 第1節  問題と目的
 第2節  方法
 第3節  結果
 第4節  考察
 そのほか、感情教育の教材として、絵本、DVDなどモデリング教材を考え、心理教育のあり方を検討する。学校での効果的な実践を考えるため、学校現場の経験が深いゲストスピーカーを招き、勉強を重ねていく予定。

ニ. 幼児教育研究部門
幼児教育研究部会

研究者 幼児教育研究部会 研究者名簿
書 記 幼児教育研究部会 書記名簿

@2015年4月に発足した本研究部会の研究も、紀要完成に向けて最終段階となり、目次構成が以下のように決定した。2019年度には原稿の推敲に入り、『園の実践知:保護者に保育を伝え連携協働する知のコミュニケーションシステムの分析』(仮)を刊行の予定。
紀要の目次)
第1章  問題と目的
第2章 園便り・クラス便りの分析
 2-1  各園の工夫 シンポジウムの声から
 2-2  全体の構造、語り方
 2-3  巻頭言の書き方の特徴
 2-4  運動会お便りにおける保育者の意図の記載
 2-5  運動会お便りでよく使用されるキーワード分析
 2-6  文字媒体以外の工夫(写真・イラスト・レイアウト)
第3章 Webサイトの分析
 3-1  Webサイト作成者側の意識
 3-2  Webサイトの全体の構造、語り方の分析
 3-3  Webサイトにおける写真の分析
 3-4  日米の保育者はWebサイトをどのように捉えるか
 3-5  保護者は園Webサイトをどう受け止めているか
第4章 コミュニケーションシステム全体の使い分け
第5章 全体考察
A研究結果を実践につないで利用できることを目的にリーフレットも紀要内容をもとに作成予定。
B2018年7月に実施したセミナーが大変好評であったことから、実践者との対話を深め、さらに紀要内容の成果周知というねらいから、本年度もセミナーを実施開催予定。
実験学校・野間自由幼稚園

 幼児教育研究部会と連携して引き続き「保育者の言葉がけと子ども達の認知・発達」を通年観察・調査し、行動研究する。
(2)講座・セミナー・育成活動
  • 2019年11月に、幼児教育研究部会が主体となり、「園の実践知:保護者に保育を伝え連携協働する知のコミュニケーションシステムの分析」(仮)と題して、野間教育研究所主催のシンポジウムを開催予定。紀要第62集に絡めての内容で、2018年7月のシンポジウムに続く第2弾である。
  • 親子で「作る・描く」美術遊びのワークショップを野間自由幼稚園にて実施予定
  • 野間自由幼稚園にて、保護者及び一般の人に向けて講演会を開催予定。
(3)教育現場での相談・助言
  • 野間自由幼稚園での毎月の職員会議にて、職員への助言、および登園、降園時の保護者からの相談に対しての助言を続けていく。
  • ホームページ上の幼児教育相談窓口の周知徹底を図る。
(4)広報活動
  • 2019年度も、広く情報発信するために、研究活動の内容をホームページ上で公開し、広く一般のユーザーもダウンロード可能としていく。
  • セミナーやシンポジウム、70周年記念事業などの告知についても、ホームページと連携させ、適宜チラシやポスターなどを作り、広報に努めたい。
(5)図書館
 2019年1月末の蔵書数は、計33,743冊。
 野間教育研究所の特殊コレクションである学校沿革史誌類は、教育機関の寄贈協力があり、8,456冊となる。
 本図書館としては、現在活動中の研究部会に即した図書・資料などの充実を意識しながら、2019年度も引き続き教育関連の書物や資料の収集を進め、データの整備、図書の補修、目録の作成などを続行。
 また、2017年度から紙の酸性劣化に対処するべく蔵書の脱酸処理を行っているが、貴重な資料の開架閲覧を続けられるよう、本年度も教育関係図書を優先しつつ蔵書全体の脱酸処理を継続的に行っていく予定。
 蔵書全体のデータがホームページ上で検索可能となったので、研究者をはじめ教育に関心を寄せる人々にとっての利便性向上のため、頻繁な更新・修正で最新の情報を提供できるよう努める。カード目録は終了し、閲覧室内の蔵書検索では、ipadを1台使用できるようにした。
 在庫のない初期の新教育叢書、野間教育研究所紀要(40冊)をインターネット上に公開するため、著作権者より複製権と公衆送信権譲渡の承諾を得た。2019年度早々には、ホームページ上にて閲覧・ダウンロードができるよう準備を進めている。


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